2012年12月4日火曜日

映画的な描写

みんなが待っていた厨二病的フェンシングカードゲームニコマス作品の後編が半年の時を経てやってきた。

律子と美希でつんつんアンギャルド 後編
ダイヤモンドP

 

映像の美しさや心理戦まで含めたゲーム描写のうまさにつていては是非作品を御覧ください。この感想文ではダイヤモンドPの映画的手法について書きたいと思います。と言っても大げさなものではなく、登場人物の心理描写をきちんと映像で描いているところについてです。当たり前と思われるかもしれませんがこれが案外むずかしい。どうしても「思っていること」をそのままモノローグやダイヤログにしたくなるんですね。そうすれば少なくとも登場人物の思いは伝わるからです。しかし映像作品でそこまで語ってしまうのはもったいない。表情だけでも十分に思いというものは伝わるものですし、そうでなければ映像作品である必要性が少なくなると思うのです。言うだけは簡単ですが実行するには難しい。しかし、それが出来た時には饒舌に語られるより人の情動に訴えるのではないでしょうか。

この作品でも律子や美希の心理描写は言葉として表現もされています。しかしその部分はゲーム解説の一端なのですね。律子がなぜ強いか、を合理的に説明するためのものなのでこれは必須です。それ以外では登場人物の心理は文章としては語られていません。それでも登場人物の心情が伝わるというところにこの作品の良さがあるのだと思いました。特に貴音がそうですね。正解があるわけではないけれど、伝わってくるものがあるという楽しさ。人によって受け取り方は違うでしょう。それでも語らないことによってより強く訴えるものがあると思いました。以下に印象的な部分をスクリーンショットとともに記そうと思います。以下ネタバレ全開。

















貴音にどうしてそこまで律子にこだわるのか、と問われたあとの美希。言葉は英雄だったから、ですが、美希の律子への執着、憧れ、律子とともに生きたいという決意が力強く描写されています。
















人類の英雄、アザサ=ミウラへの強烈な反感が見て取れるカット。それは憎しみなのか、あるいは……。

以下はこの作品で一番見事だと思ったシーンについて。ダイヤモンドPのわかりやすい説明もあり、美希が一本返したあと、美希は現段階では律子には運以外では勝てないことが描写されます。その後の貴音の表情がすばらしい。

















律子と美希の戦い方を知ったわたしたちはこの貴音の表情だけで息詰まる彼女たちの戦いぶりを想起できるようになっています。作品としてのくどさをなくしつつ緊張感を持たせるうまい構成だと思いました。

それにしてもこの前後編あわせて30分にも満たない作品の厨二病へのくすぐりは凄まじい。作品だけでも満足なのですが、彼女たちが何者かという楽しみが余韻として残ります。別に答えがある必要はありませんが、後を引きずる楽しさでした。例えば、人類の裏切り者たちは吸血鬼なのだろうか?とか。


 












霧のようになれること、紅い瞳。作品内では描かれていませんが視聴者にこういう楽しみを与えてくれる作品は好きです。貴音も謎のまま。人類の英雄でなかったであろうことは美希の言動から類推できます。律子との会話から律子に心酔しているわけでもなさそうです。ずっと微笑んでいる貴音もこの作品の楽しさだと思いました。



 












前後編通して悪戯っぽい笑顔。しかし、律子が止めなければ同じ笑顔のまま本当に美希の首を刎ねたであろう凄みが映像から伝わってきてすばらしい。おそらく、本源的にヒトではないのであろうという描写なのだと思いました

ダイヤモンドPは静画でこの世界での彼女たちを描いていてくれています。



ちーちゃん前髪長い。



そして人類の英雄、アズサ=ミウラ。うおおお、見たい!この世界の彼女たちをまた見たい!!インディアン・ククでもいいから見たい。ほんとお願いします。異常に手間暇かかるのは見ているだけで伝わってくるのでわがままはいいませんが、本当に見たいです。

カードゲームのプレイ動画としてもひとつの映画としても本当に素晴らしい作品でした。こういう作品を見られるからニコマスはやめられない。

おっと、この作品で最高のカットを貼り忘れていました。

ふぅ……。

そうそう、それはそうとニコマスの架空戦記では律子はすっかりヘタレ中ボスになってるんですけど、どうにかなりませんかね?こういう風に律子がちゃんと強い作品がもっとあってもいいと思いません?現行でぱっと思いつくのって「81マスのマーメイド秋月公記 くらいしかないよ。もっと強い律子を見たいなあ。Nightwishももっと使って欲しいな。とかぐだぐだなままこの項おしまい。

0 件のコメント: