2012年12月4日火曜日

積み重ねるということ

アイドルマスター サクラ大戦 「愛が香るころに」
ぴっかりP


すごい好きでずっと感想文を書きたかったのだが、色々言葉にならない。多くの人が見ていること、驚嘆と喜びに満ちたコメントだけでもういいよな気がする。それでもやっぱり自分の思いを残しておきたい。動画としてのよさについてはもう見てください以上に書くことはないのでそれ以外のことと単にわたしが好きだった箇所の感想だけでも。


相変わらず凄まじい技術だが、その技術のほとんどはアイドルマスター サクラ大戦 「奇跡の鐘」」 の段階で完成の域に達している。多人数を違和感なく並べることやダンスの後ろに人を歩いて移動させること、リップシンクロ、被写界深度など。この完成度をもってしてもぴっかりPは満足していなかったようだ。おそらく頭の中に理想のアイマス歌劇団があって実際の作品はまだまだ足りていないのだと思う。理想は理想で決して手が届くことはないだろう。それでも、ぴっかりPはそれに一歩でも近づくために歩みを止めることはないのだと思う。満足せずに積み重ねることにぴっかりPの凄みがあるのだと思う。

今まではサクラ大戦の歌劇団の衣装にも合わせるように凄まじい労力を使ってきたと思われる。今作ではそれを捨てている。アイドルマスターのアイドルたちがサクラ大戦の歌劇団の楽曲を演じるという根源に立ち戻った作りになっている。そのかわりに得たものは2の高い解像度を生かした広い舞台だと思った。ロングの映像で楽しそうに歌い、踊るアイドル達を見ているだけで幸せになれる。2でもアイドルマスター サクラ大戦 「巴里よ、目覚めよ」」  のように衣装を合わせることも可能だが、今回はその労力を歌とダンスにまわしたのだと思った。そのせいだと思うがのびのびと踊る彼女たちを見て頬がゆるむ。

総論は以上までとして個別に好きなシーンをスクリーンショットとともに書きたい。














まずは何と言っても間奏部分。特段に重い歌ではないがそれでもサクラ大戦オールスターズという緊張感のある楽曲の中でこの箇所がふっと軽やかになる。それにあわせてフォーエバースター☆☆☆の彼女たち軽やかに踊る。息を詰めて見ていたこの作品でっと息を吐ける瞬間とでも言おうか。こういうふうに作品を構成できるところがぴっかりPの凄みだ。スクリーンショットはぴっかりPが大好きなちーちゃんソロで。














7人同時ダンスではアイマス2の解像度の高さがうまく使われていると痛感させられた。無印、L4Uではどうしても少しぼけた感じになるし、ここまで引いた画を衣装替えして表現することは困難だと思う。今回サクラ大戦への衣装合わせを諦めてでもこういう画作りをしたかったというぴっかりPの意図が感じられる。

次は6人以上を舞台に上げる時にぴっかりPが行った丁寧な技術についての感想を書きたいと思う。














くさび形の隊列の先頭に立つ春香さん。ここから、














このようなカット(上の画とあずささんと真美の立ち位置に注意)を挟むことにより、















くさび形が逆になっていることを違和感なく見せている。タツジン! ロングでやりぬくことも可能だろうが、アイドルの動画なのだからやっぱりアップは見たい。舞台に大勢を並べるだけではなく、きちんとアイドルのPVとしての作法を守りつつ、視聴者に隊形移動をすんなりと想起させる構成が見事。

余談になるが、ふたつ上のあずささんの画のように目を閉じて笑顔と表現するのは日本の漫画やアニメの文化の特徴らしい。確かに洋の東西を問わず目を細めることはあるがこのように目を閉じる表現方法はあまり見かけない。ぴっかりPの動画ではリップシンクロが話題になるが目も見ていて飽きない作りになっている。














このカットは髪が流れる乙女真を残しておきたいだけw

  












凡百のセンスじゃないなと思い知らされたラストの画。見て分かる通り春香さんの両脇が少し開いている。春香さんが「この楽曲では」センターなんだという画作りのうまさ。上に貼ったくさび形の画ではこうはなっていないが、締めはこうでなくちゃと思わせる説得力がある。

以上でこの作品単体への感想は終わりなのだが、もう少し続きを。以前、 ダンスが楽曲に合っていればニコマスとしてはもうそれでいいのじゃないかという感想を書いた。この感想では神はやっぱり細部に宿るね、という結論だったがひるがえす。ニコマスのダンスPVの楽しさ基本はそこなんだと思ったから。

ありがたいことにまたぴっかりPから仮組みを見せていただけた。


 

このダンスの選択と構図の選択のすばらしいこと。もちろん、完成作の方がいいに決まっている。それでも、このままブラッシュアップしただけでもわたしにとって忘れられない作品になっただろう。やはりダンスPVはダンス選択とシンクロが骨なのだと思う。イフェクトも抜きも作品に寄与することは当然だ。しかし、ダンスPVはアイドルたちが踊っていることそのものに楽しさの本源があると改めて思わされた作品だった。

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