2016年2月9日火曜日

名前のないP 12人の怒れるアイドル

ネタバレのあるブログです。

【NovelsM@ster】12人の怒れるアイドル
名前のないP


一応改ページしきますが、まずは面白かったです。特に会話、会話というか独白がよかったです。よく練られていたと思いました。また、ほぼ毎日更新でしたので、その速度に驚きながらも、前の話を忘れることもなくテンポよく見させていただきました。名前のないP、ありがとう!


 
原作はレジナルド・ローズの「十二人の怒れる男」。有名なのは1957年版のヘンリー・フォンダが主演した映画だと思います。わたしはこれしか知りません。

名前のないPが採用したのは、ニキータ・ミハルコフ版の「12」。こちらは未見です。

最初に被告をユジンにしたことには戸惑いました。コメントが荒れないといいなあ、というのが正直な感想。見てみると、割りとそれっぽい感想があってもおかしくはない内容だったのでしたけど、杞憂だったようです。

十二人の怒れる男は、謎解きも楽しいのですが、差別も当然にテーマの一つになっています。だから、本当ならこんな心配をしないで見られる世の中になればいいのですけど、そういう世の中になると、なぜ韓国人というだけで差別されるのかわからなくなるので、テーマがぼやけてしまいますね。ですが、それでいいんだと思います。

上述のとおり「12」が元ネタなので、それに沿っているかはわかりませんが、「十二人の怒れる男」と違って裁判員の正体がお互いにわかるような構成になっています。

正直、わたしは映画の「十二人の怒れる男」のように、相手が誰だかわからないまま、密室で争った話の方が好きです。

ただ、名前のないPの各アイドルのトラウマとその独白は実に見応えのあるものでした。 NovelsM@sterの名に恥じない、アイドルマスターの、シンデレラガールズの物語でした。

このアイドルの語りを読むだけでこの作品は見る価値があります。また音楽の使い方もうまいんですよねえ。

一番気に入ったのは美嘉の独白です。感情をすべてぶつけて、もう、喋っていることは何の理屈もなさなくなっていて、それを自分が一番知っていて、そして、ユジンに無罪票を入れるシーンは本当に見応えがありました。

でもなー、うん、わたしは、やっぱりヘンリー・フォンダ版の最後が好きなんですよね。相手が誰かわからないまま、猛烈に濃い時間を過ごした男たちがなんとも爽やかに分かれていくシーンが。おそらく二度と会うことのないあの別れのシーンが強烈でした。

飛び石連休があるので是非一気見してみてください。文章が綺麗で本当に読み応えのある作品でした。

ただ、二重引用符は“こう”!かこってほしかった……。

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